パリ5大宝飾ブランドグランサンク“モーブッサン” ジュエリーの歴史｜世界中の人々に愛される理由とは？

1827年に誕生したモーブッサンは創業から独立経営を続けている格式高いブランド。

高級ジュエリーの協会であるグランサンクにも名を連ね、ブシュロンなどと肩を並べる名実ともに世界的に認められたブランドです。

今回は、約200年世界中の幅広い層の人々から愛されてきたその理由と歴史をたどっていきたいと思います。

モーブッサンがたどってきた偉大な歴史

現在のパリのイメージとはほど遠い1820年代からブランドをスタートし、数々の障壁を乗り超えてきたモーブッサン。
今では世界で知らない人はいないまでに拡大し世界中の人々を魅了し続けています。

ここからはそんなモーブッサンの歴史を順に辿っていきましょう。

現在の店舗は花の都パリの一等地”ヴァンドーム広場”に並んでいますが、創立当初はサンマルタン港に近いパリのグルヌタ通りにある小さなアトリエでした。

しかし、1827年に創業者のロシェがモーブッサンをアトリエを創業した1820〜30年代のパリは、大混乱に見舞われていました。

コレラの大流行や貧困、さらには戦争などが重なり、民衆がジュエリーを楽しむ暇もないような激動の時代の最中でしたが、そこに一筋の光が射します。

ナポレオン3世がヨーロッパ諸国との戦争に勝利し続けた戦利品として、多くの美術品を手に入れたことがきっかけとなり、フランス国内での関心が高まったのです。

民衆が多くの美術品を身近に感じたことや、大変な時代だったからこそ人々の心を癒す美術品やジュエリーの存在価値が上がったのでしょう。

そしてこのような激動の時代を駆け抜けてきたモーブッサンは、国際的なイベントの数々で大きな賞を受賞していき名実ともに成功していきます。
中でも1873年のウィーン万博博覧会や1878年のパリ万博博覧会で名誉あるブロンズメダルを受賞したことは、フランスのジュエリー産業の拡大に大きな影響を与えました。

そして、1925年のパリ万博博覧会ではゴールドメダルを獲得しヨーロッパ各国でさらに知名度が浸透。

高級ブランドがひしめく中、モーブッサンは博覧会を通じて大きな飛躍を遂げていくのです。

さらに6年後の1931年の植民地博覧会のダイヤモンド展示会で、ハイジュエラーがカラーストーンを使用していることが話題となり、カラーストーンの希少性と価値をあげていきます。

それ以前までは、ほとんど価値がないとされ見向きもされなかったカラーストーンが、同ブランドを皮切りに世界中のジュエラーで取り扱われるようになったのだとか。

そうというのも、実は創業者のロシェは、元々カラーストーンのコレクター。
創業当初は高価なダイヤモンドを手に入れることが難しく、鮮やかなカラーストーンを実験的に使い始めたこともきっかけになったかもしれません。

モーブッサンが存在しなければ、私たちは鮮やかなカラーストーンをふんだんに使用したジュエリーを見ることすらなかったかもしれませんね。

1946年にはヴァンドーム広場へ本社を移転し、この頃にはアール・デコの様式が流行していた中東からの購入者が増加。

移転に時間がかかった理由は、パリ万博でのゴールドメダル受賞で知名度があがったことから貴族やセレブリティから多くの注文が入ったからと言われています。

1990年代に入る頃にはブランドはさらに拡大し、あの有名な喜劇王チャップリンも、奥様にモーブッサンのジュエリーをよくプレゼントしていたのだとか。
そんな数ある上得意の中でも、ブルネイの皇太子はモーブッサンと数多くのジュエリーを取引していきました。

しかし、それも長くは続きません。そのお得意様であったブルネイの皇太子が突然失脚し、同ブランドは一気に経営難へ。

その後、2002年の事業売却をきっかけに新しいCEOを迎え、新体制が加速していくことになるのです。

2006年には東京、2008年にはニューヨーク、翌年2009年にはシンガポールにと世界中に店舗が拡大するまでに。

日本初進出時には、5000人限定で0.10カラットのダイヤモンドを無料で配布するという、大胆なマーケティングが話題を呼びました。

そしてこのような偉大な歴史を辿り、現在でもなお、王侯貴族はもちろん数々のセレブリティに愛され続けるブランドとして君臨し続けているのです。

モーブッサンは創業当初から革新的な発想とジュエリーで偉業を成し遂げ、世界中の人々を虜にしています。

グランサンクの一翼を担うモーブッサンのジュエリーを手にして、その美しい輝きを感じてみてくださいね。