真珠っていつから使われているの?
調べてみたら、答えは想像よりずっと昔でした。いちばん古い真珠は、紀元前5800年ごろのものでした。数字だけ見てもピンとこないくらい、遠い昔の話です。
そこから真珠は権力者の宝物になり、海を越え、薬にまでなって、やがて日本人の手で「わたしたちにも手が届くジュエリー」に変わりました。世界最古の真珠から御木本幸吉の養殖成功までを、時代順にたどります。
真珠の歴史はいつから始まった?|世界最古の真珠は紀元前5800年ごろ

いちばん古い真珠が見つかった場所
世界最古とされる真珠が出土したのは、アラブ首長国連邦のマラワ島です。新石器時代の遺跡から見つかった天然真珠で、年代は紀元前5800〜5600年ごろ。いまからおよそ7,800年前にあたります。
正直、7,800年前と言われても実感はわかないですよね。それでも人が真珠を手元に置きたいと思った時間は、それだけ長く続いてきたということです。
エジプトと中国に残る古い記録
そのあとの時代にも、真珠にまつわる記録が残されています。エジプトでは紀元前4200年頃から、真珠母貝(マザーオブパール)が装飾に用いられていたと伝えられています。
いっぽう中国では、紀元前23世紀頃にはすでに真珠が王への献上品とされた記録が残っているといわれます。王に差し出すもの、つまり当時から最上級の贈り物だったということですね。
富と権力の象徴だった時代|クレオパトラの伝説から大航海時代へ
真珠を酢に溶かして飲んだ話
太古から東洋の権力者たちにとって、真珠は「富と権力の象徴」でした。
真珠の特別さを伝えるエピソードが、ひとつ。
かの有名なクレオパトラには、最高級とされる大粒の真珠を酢に溶かして飲んだという伝説が残されています。
それを見せつけられた他国の支配者は大層驚き、クレオパトラの財力を認める他なかったとされています。それほどまでに、真珠は希少で価値あるものだと認識されていたのですね。
大航海時代、真珠はヨーロッパへ渡った
交易がはじまり、東洋の美しい真珠の存在を知ったヨーロッパの権力者たちは、強く真珠を求めるようになります。
大航海時代以降、多くの真珠が東洋からヨーロッパに持ち込まれたとされています。
こうして真珠が出回り、その美しさを世界中の人々が知ることになりました。ただし、実際に手にできる人はごく一部。とくにヨーロッパでは、王侯貴族のみが身につけられるジュエリーでした。
日本での真珠の歴史|魏志倭人伝や万葉集にも登場する

古代の日本人にとって、真珠は身近な宝石だった
四方を海に囲まれた日本は、古くから真珠と縁のある国です。
古代から天然真珠の産地であったため、真珠の存在は身近なものでした。
それでも、その美しさと希少性から、当時から大変珍重されていたといいます。
身近なのに、手には届かなかった
魏志倭人伝や日本書紀、万葉集などの書物にも真珠に関する記述が出てくるほど、日本の人々にとって真珠は身近ながらも特別なものだったのです。
とはいえ当時の天然真珠は大変希少で、一般の人がおいそれと身につけられるものではありません。海はすぐそこにあるのに、真珠は遠い。長いあいだ、この距離感のままでした。
1893年、日本が真珠の歴史を変えた|御木本幸吉と養殖真珠

日本で初めて養殖真珠に成功した人
日本では1893年に、初めて養殖真珠の生産に成功しました。
その第一人者が「ミキモト」の創設者である御木本幸吉。のちに「真珠王」と呼ばれるほどの財を築いた人物です。
偶然に見つかるのを待つしかなかった真珠を、人の手で育てられるようにする。長いあいだ動かなかった前提を、ひとりの日本人がひっくり返した年が1893年でした。
真珠が「わたしたちの宝石」になった日
技術が進歩して日本人により養殖方法が生み出されると、真珠の価格は一気に下がり、わたしたちにも手が届くジュエリーになりました。
一部の人だけのものだった真珠が、人生に寄り添う宝石へ。成人のお祝いに、就職が決まったときに、自分へのごほうびに。いま真珠を選べるのは、この転換があったからです。
薬として使われてきた真珠|西太后が服用したという話
真珠は、飾るためだけの石ではありませんでした。
真珠は宝飾品以外に、古くから漢方薬の原料「生薬」のひとつとしても使われていました。
解熱・鎮静・美肌の効果があるとされ、清朝の権力者・西太后も服用していたと伝えられています。
美肌のために真珠を飲む。いまの感覚だと驚いてしまいますが、それだけ特別な力があると信じられていたのでしょう。
現代でも生薬のひとつとして漢方薬に使われ、真珠を配合した美容クリームなども流通しています。飲む真珠に、塗る真珠。形を変えながら、いまも生き残っている使い道です。
日本人が真珠を選び続ける理由|世代を超えて受け継がれる一本

控えめな輝きが、日本の装いになじむ
紺やグレーのジャケットに合わせても浮かない。写真に写ったとき、顔まわりだけがふわっと明るく見える。20代で買ったひと粒を40代でつけても、若作りにも見えないし、老けても見えない。真珠の光は、そういう働き方をします。
強く主張してこないのに、つけている日とつけていない日では印象が違う。この加減が、日本人の好みに合ってきたのかもしれません。
母から娘へ、受け継がれていく
真珠は、母から娘へと受け継がれることの多い宝石です。
受け継がれた一本には、値段では測れないものがついてきます。母が身につけた日のこと、その日の写真、かけられた言葉。人生の節目で使われた時間そのものが、真珠に重なっていきます。
実際に改まった場で身につけるときの決まりごとは、お葬式と結婚式のパールマナーと冠婚葬祭で失敗しない真珠の選び方にまとめています。
真珠の歴史についてよくある質問
Q. 真珠はいつから使われているの?
いまわかっている中で最も古い真珠は、アラブ首長国連邦のマラワ島で出土したものです。紀元前5800〜5600年ごろ、新石器時代のものとされています。およそ7,800年前ですね。
Q. 日本で真珠の養殖が始まったのはいつ?
1893年です。御木本幸吉が日本で初めて養殖真珠の生産に成功し、そこから真珠は少しずつ一般の人にも手が届くものになっていきました。
Q. 天然真珠と養殖真珠、歴史的にどちらが先?
天然真珠が先です。人の手で育てる養殖真珠が登場するのは1893年以降で、歴史の長さでいえば天然真珠のほうが圧倒的に長いことになります。
真珠にどんな意味が重ねられてきたのかは、真珠の石言葉と意味にまとめています。
まとめ|真珠は、いちばん長くそばにいてくれた宝石

紀元前5800年ごろのひと粒から、古代の日本、大航海時代のヨーロッパを経て、1893年の養殖成功へ。真珠はおよそ7,800年かけて、権力者の宝物からわたしたちの手元まで下りてきました。
そのあいだ真珠は、飽きられることなく選ばれ続けてきました。はなやかな日にも、しずかな日にも同じようにつけられる宝石は、正直そう多くないと思います。
どの真珠を選ぼうか迷ったら、真珠の種類と選び方もあわせてのぞいてみてくださいね。