弔事の際、着用される漆黒のジュエリー「ジェット」。
故人を追悼するために身に付ける装飾品「モーニングジュエリー」とも呼ばれ、日本皇室でも愛用されてきた神秘的なジュエリーです。
今回はジェットがどのように出来ているのかや特長、歴史、石言葉、お手入れ方法について詳しくご紹介します。
漆黒の宝石ジェットとは?
ジェットは、太古の樹木を起源とし、長い年月をかけて形成された褐炭の一種です。一般的な鉱物の宝石とは異なる有機質素材で、軽く、やわらかな性質を持っています。
比重は約1.10〜1.40と非常に軽いのが特徴。水晶と比べると約半分ほどの重さしかありません。
肩こりが理由でネックレスが得意じゃない方も、ジェットは真珠やオニキスと比べて重さがあまり気にならないのでおすすめです。
また着用したとき、冷たい感じがほとんどありません。
モーニングジュエリー「ジェット」の歴史

ジェットと人との関わりは非常に古く、イギリスでは少なくとも約5,000年前から装身具として使われていたことが確認されています。
その後、ローマ支配下の1世紀後半から4世紀頃にかけて、ジェットの採掘と加工が盛んになりました。
しかし、4世紀後半になりローマ人がイギリスを去ると共にジェット工業も衰退しました。
それから7世紀後半、イギリスにキリスト教が普及すると、ジェットは聖職者の装身具やリングなどに加工されたのです。
擦ると摩擦により電気が発生するため、「不思議な黒い琥珀」と呼ばれ、魔除けやお守り、さらに高尚な方々の装身具として愛されました。
しかし、17世紀の宗教改革により装飾文化が簡素化され、ジェット装身具の需要は次第に減少していきました。
イギリスのヴィクトリア女王がジェットを愛用
1837年、18歳の若さでヴィクトリア女王は即位しました。
その3年後にドイツ人で女王の同い年のいとこであるアルバート公と結婚しています。
しかし結婚21年目、夫アルバート公は腸チフスのため急逝。
ヴィクトリア女王は悲しみに暮れ、その後ジェットを身に付け喪に服しました。
ジェットをヴィクトリア女王が身に付けていたことで、故人を追悼する宝石として有名となり、社会的に、正式なモーニングジュエリーとして広く認知されるようになりました。
ジェットの石言葉や意味&言い伝え
ジェットは魔除けのお守りとして身に付けられてきたジュエリーです。
故人を追悼するための装身具としても使われ、古くから特別な力が宿ると語り継がれてきました。
【ジェットの石言葉】
- 魔除け
- 浄化
- ストレス解消
- 精神力の強化
- 危険の回避
など
さまざまな負の力から持ち主を守ってくれる——ジェットには、そんな言い伝えが残っています。
とくに怒りや嫉妬といった心のざわつきを鎮めると言われてきた石。気持ちを整えたい日のお守りとして、普段づかいしてみるのもすてきです。
ジェットのお手入れ方法

着用したあとは、柔らかい乾いた布でそっと拭くだけで十分。これだけで艶が長持ちします。
汚れが気になるときは、ぬるま湯に数分ひたし、毛の柔らかいブラシで優しくなでるように洗ってください。そのあとは乾いた布で水分をしっかり拭き取ります。
ジェットはやわらかい素材なので、力を入れてこすると傷が付いてしまいます。あくまで「なでる」くらいの力加減で。
まとめ
今回は漆黒のモーニングジュエリー「ジェット」についてご紹介しました。
職人の手で丁寧に磨き上げられたジェットは、漆黒の表面にしっとりとした艶をたたえます。
心を鎮めるお守りとして長く愛されてきた石。弔いの場はもちろん、気持ちを整えたい日の一本としても、そばに置いてみてはいかがでしょうか。
石の呼び名や見え方の話は、ほかの記事にもまとめてあります。石の見え方でわかる宝石の話まとめもあわせてどうぞ。