11月の誕生石といえば、トパーズ。誕生石一覧を見ると、11月の欄にはトパーズとシトリンの2つが並んでいます。
トパーズと聞いて、澄んだ黄金色を思い浮かべる方は多いかもしれません。けれど実際のトパーズは、無色からブルー、ピンクまで色の幅がとても広い石です。
鉱物としての成り立ち、色ごとの呼び名、11月の誕生石としての石言葉。トパーズの色の幅を順にたどります。
トパーズとは

トパーズは、Al2SiO4(F,OH)2 という化学組成をもつケイ酸塩鉱物です。記号の並びで注目したいのが、末尾の (F,OH) の部分。ここではフッ素(F)と水酸基(OH)が置き換わります。
同じトパーズでも組成にはある程度の幅が出ます。ひと口にトパーズと言っても、中身は一様ではありません。
モース硬度は8。同じ11月の誕生石であるシトリンが7ですから、硬さでは少し上をいく石です。
名前の由来には諸説があります
トパーズという名前の出どころは、ひとつに定まっていません。よく挙げられるのが、紅海に浮かぶ小島トパジオス(Topazios)のギリシャ語名から来たという説です。
この島は、現在のザバルガド島にあたります。
もうひとつ有力なのが、サンスクリット語の topas、あるいは tapaz からという説。こちらは「火」を意味する言葉です。
おもしろいのは、そのトパジオス島から実際に採れていた石のこと。トパーズではなく、ペリドットでした。
鉱物学がいまのかたちになる以前、この2つは長いあいだ混同されていたのです。名前をたどると、そんな取り違えの歴史まで見えてきます。
色の幅が広いトパーズ
トパーズは、カラーバリエーションの豊富な宝石です。無色、ブルー、ピンク、オレンジ、イエロー、ブラウン。同じ名前の石とは思えないほど、表情が違います。
トパーズ=黄色というイメージだけで選んでしまうのは、少しもったいないかもしれません。
インペリアルトパーズという呼び名
色を語るうえで外せないのが、インペリアルトパーズ。深い赤みのオレンジから、ピンクを帯びた金色までを指す呼び名です。
インペリアル、つまり「皇帝の」という言葉が付いた理由にも諸説があります。ブラジル皇帝ペドロ1世にちなむという説と、ロシア皇帝への敬意から名づけられたという説です。
ブルートパーズの色は処理から生まれます
ジュエリーショップで見かける機会が多いブルートパーズやミスティックトパーズ。実はこの色は、人の手を経て生まれたものです。なかでもブルーは、次の工程からできています。
まず、無色のトパーズに放射線を当てます。使われるのは、ガンマ線や電子線、中性子線。そのあと加熱すると、あの澄んだブルーが現れます。
市場でよく見かけるブルーは、この工程からできた色です。
人の手が入っている、と聞くと気になるかもしれません。ただ、無色のトパーズに色を与える方法としては一般的なやり方です。
シトリンとは別の鉱物です
同じ11月の誕生石で、どちらも黄色い石。そう並べると、トパーズとシトリンは近い仲間のように思えてきます。
ところが、この2つはまったく別の鉱物です。シトリンはクォーツ(石英)の仲間ですが、トパーズはクォーツの仲間ではありません。
モース硬度も、トパーズが8、シトリンが7と差があります。
ややこしいのは、シトリンが「トパーズ」を含む紛らわしい名前で流通することがある点。石の名前は買う前に確かめておくと安心です。
トパーズは11月の誕生石
日本の誕生石で11月に割り当てられているのは、トパーズとシトリンの2つです。
誕生石のリストは2021年12月20日に改訂されましたが、11月に新しく加わった石はありません。トパーズとシトリンという顔ぶれは、そのまま受け継がれています。
トパーズの石言葉は「友情」「希望」「誠実」「潔白」。まっすぐな関係や、これから先の道のりを思わせる言葉が並びます。
色ごとに違う意味を重ねる楽しみ方も、古くから親しまれてきました。ブルートパーズには「知性」、インペリアルトパーズには「能力の向上」、ピンクトパーズには「恋愛成就」と言い伝えられています。
叶えたい願いから色を決めてみる。そんな選び方も素敵です。
お守りとして親しまれてきた石
トパーズには、古い時代からの言い伝えがいくつも残っています。古代エジプトでは、太陽神ラーと結びつけられた石だとされてきました。
時代がくだって中世。王や裁判官が、地位や名誉を守るためのお守りとして身につけていたと言い伝えられています。
どれも言い伝えではありますが、それだけ長く頼りにされてきた石です。
あわせて知りたい、11月の誕生石
11月生まれの方には、もうひとつシトリンという選択肢があります。
シトリン
シトリンは、クォーツ(石英)の黄色い変種です。モース硬度は7。あのあたたかな黄色は、結晶のなかにごくわずかに含まれる鉄から生まれます。
石言葉は「繁栄」「成功」「富」「幸福」「希望」。色の幅で選ぶならトパーズ、レモンのような黄色で選ぶならシトリンと、同じ11月でも印象はずいぶん違います。
まとめ|11月の誕生石トパーズ
トパーズは、フッ素と水酸基が置き換わることで組成に幅をもつ、モース硬度8のケイ酸塩鉱物です。
名前の由来には、紅海の島の名からとする説と、「火」を意味するサンスクリット語からとする説があります。色の幅は無色からブルー、ピンクまで。ブルートパーズの多くは処理から生まれた色です。
石言葉は「友情」「希望」「誠実」「潔白」。11月生まれの方への贈り物としても、自分のためのお守りとしても選びやすい石です。
色ごとに表情の変わるトパーズだからこそ、選ぶ時間そのものが楽しくなります。ぜひお気に入りの一色を見つけてみてください。