石のなかに、すっと一本の白い光の帯。誕生石一覧の2月の欄に、アメシストと並んで入っているのがクリソベリル・キャッツ・アイです。
猫の目を思わせるこの見え方が、そのまま宝石の名前になりました。日本の誕生石に加わったのは2021年のこと。2月に並ぶ2つのうち、あとから仲間入りしたほうの石です。
クリソベリル・キャッツ・アイとは

クリソベリルという鉱物のうち、シャトヤンシー(猫目効果)を示すものだけに付く呼び名。それがクリソベリル・キャッツ・アイです。同じクリソベリルでも、光の帯が現れなければこの名前では呼ばれません。
つまり宝石名の条件になっているのが、あの一本の帯なのです。
色は金色を帯びた蜜色から、緑がかった黄色、褐色を帯びた緑まで。黄色から緑にかけて幅があり、暖かみのある色調が並びます。
名前は「黄金」から|金緑石と猫目石
クリソベリルの語源は、ギリシャ語の chrysos(黄金)と beryllos。黄金という言葉が入っているとおり、金色を帯びた色合いがこの石の出発点になっています。
和名も2つあります。鉱物としてのクリソベリルが金緑石で、そのなかで光の帯が現れるものが猫目石です。
色と、光の帯。呼び名をたどるだけで特徴がわかる石です。
古くから知られる産地、スリランカ
産地として古くから名前が挙がるのが、スリランカ。かつてセイロンと呼ばれていた島です。
最上質のクリソベリル・キャッツ・アイが採れる場所として、長いあいだ知られてきました。産地の名前を覚えておくと、石を選ぶときの手がかりになります。
猫の目の帯をつくる、針状のインクルージョン
光の帯の正体は、石の内部にあります。微細な針状のインクルージョン(内包物)が、同じ向きにそろって平行に並んでいるのです。
この針の列に光が当たると、反射がひとすじに集まります。石の表面に浮かび上がって見えるあの白い帯は、内部の並びが生んだ光の集まりです。
帯が現れる向きにも決まりがあります。光の帯は、内部の針が並ぶ向きと直交して姿を見せるのです。
針が縦にそろっていれば、帯は横向き。石のなかの、目には見えない列の方向が、そのまま表の見え方を決めています。
石のなかの内包物は、ふだんなら気になってしまう存在です。ところがクリソベリル・キャッツ・アイでは、その内包物が、この石を成り立たせています。
光の当て方で色が分かれる「ミルク&ハニー」
光を当てると、帯の両側で色が違って見えることがあります。この見え方には「ミルク&ハニー」という呼び名が付いています。
ミルクとハチミツ。並べて呼ぶだけで、どんな対比なのかが伝わってくる名前です。宝石の呼び名のなかでは、めずらしく身近な言葉づかいです。
帯そのものだけでなく、その両脇の見え方にまで名前が付いている石。それだけ細かく見つめられてきた歴史がある、ということでもあります。
ダイヤモンドとコランダムに次ぐ硬さ
クリソベリル・キャッツ・アイのモース硬度は8.5。宝石のなかでも、とりわけ硬い部類に入ります。
上にあるのはダイヤモンド(10)と、ルビーやサファイアが属するコランダム(9)だけです。地表で見つかる鉱物としては、3番目に硬い部類にあたります。
硬いということは、擦り傷が付きにくいということ。手を動かすたび何かに触れるリングでも、無理をせずに付き合っていける石です。
クリソベリル・キャッツ・アイは2月の誕生石
日本の2月の誕生石は、アメシストとクリソベリル・キャッツ・アイの2つです。
クリソベリル・キャッツ・アイが加わったのは、2021年12月20日の改訂でのこと。アメシストは、それ以前から2月の誕生石でした。
石言葉は「慈愛」「守護」「驚嘆」。人を思いやる気持ちと、守るという言葉。そして、目を見張るような驚きが並びます。
猫の目は第3の目を表すと考えられ、古くからお守りとして持たれてきました。邪気を払い、幸運を呼ぶとも語り継がれています。
見守られているような気配。石言葉の「守護」とも、どこかで通じ合う言い伝えです。
2月生まれの方の誕生日に、大切な人の無事を願って。贈る理由をつくりやすい石言葉がそろっています。
あわせて知りたい、2月の誕生石
2月にはもう1つ、長く親しまれてきた誕生石があります。
アメシスト
アメシストは、以前から2月の誕生石として親しまれてきた石です。2021年の改訂を待つまでもなく、ずっと2月の欄に名前がありました。
石言葉は「高貴」「心の平和」「愛情」。クリソベリル・キャッツ・アイの3語とは、まったく違う方向の言葉が並びます。
まとめ|2月の誕生石クリソベリル・キャッツ・アイ
クリソベリルという鉱物のうち、猫目効果を示すものがクリソベリル・キャッツ・アイ。石のなかに平行に並んだ針状のインクルージョンが、あの一本の帯をつくっています。
モース硬度は8.5。ダイヤモンドとコランダムに次ぐ硬さで、ふだんの装いに入れておける石です。
2月の誕生石に加わったのは、2021年12月20日の改訂でのこと。石言葉は「慈愛」「守護」「驚嘆」で、お守りとしての言い伝えも古くから残されています。
そして、この石のいちばんの見どころは手もとにあります。角度を変えて光の当たり方が変わると、白い帯もすっと位置を移していきます。
猫の目がこちらを見返してくるような一瞬。その動きこそが、この石が猫目石と呼ばれてきた理由です。