ターコイズブルー――色を言い表す言葉としてすっかり定着しているこの青が、トルコ石(ターコイズ)の色です。
夏の装いに似合うイメージが強い石ですが、誕生石一覧を見ると、トルコ石が並んでいるのは12月。冬の月だと知ると、少し意外に感じるかもしれません。
まずは鉱物としての素顔から。そのあとで「トルコの石」という呼び名の由来と、12月の誕生石としての位置づけまで見ていきます。
トルコ石(ターコイズ)とは

トルコ石は、含水リン酸銅アルミニウム(CuAl6(PO4)4(OH)8·4H2O)という組成を持つ鉱物です。銅を含む石で、青から緑まで個体によって色の幅があります。
質感は半透明から不透明。光を通しきらないぶん、色そのものがまっすぐ目に届きます。
内部には細かな穴が無数にあいており、こうした性質を多孔質といいます。この構造が、あとで触れるお手入れの話にもつながっていきます。
モース硬度は5〜6で、宝石のなかではやわらかい部類に入ります。ぶつけたり擦れたりしないよう、身につけるときは少し気を配りたい石です。
網目模様が入るのはなぜ
トルコ石には、青一色のものと、黒や茶の細い筋が網目のように走るものがあります。
この筋はマトリックスと呼ばれるもので、トルコ石を含んでいた母岩が一緒に残ったものです。網目状に走るタイプもあれば、斑点状に散るタイプもあります。
模様の出方は石ごとに違うので、まったく同じ一点は出てきません。すっきりした青を選ぶか、模様のある一点を選ぶか。並べて迷うのも楽しい石です。
「トルコの石」という名前の由来
トルコ石という呼び名は、フランス語の pierre turquoise に由来します。意味はそのまま「トルコの石」です。
ところが、トルコはトルコ石の産地ではありません。中東で採れた石がトルコを経由してヨーロッパへ渡ったため、その道すじが名前として残ったのです。
名前に交易路が刻まれている宝石。そう考えると、この青がずいぶん遠くから旅をしてきたことが伝わってきます。
実際の主な産地は、イランのネイシャーブール(ニシャプールとも呼ばれます)、アメリカ南西部、そして中国です。
いちばん古い採掘はシナイ半島
トルコ石の歴史はとても古く、シナイ半島では紀元前4千年紀より前から採掘されていました。世界で最初期の硬岩採掘のひとつに数えられています。
つまりトルコ石は、人類が手にしてきた最古級の宝石のひとつということになります。
古代エジプトでは支配者に愛され、中国では彫刻の素材として古くから用いられてきたと伝えられています。チベットでは、災いを遠ざけ幸運を呼ぶお守りとして大切にされてきました。
やわらかい石だからこそのお手入れ
多孔質という性質は、トルコ石の個性であると同時に弱点でもあります。汗や化粧品、香水、手の油分がしみ込むと、色合いが変わってしまうことがあるのです。
そのため、市場に出回るトルコ石には含浸や充填といった処理が広く行われています。石を安定させ、見た目を整えるための工夫です。
お手入れそのものはむずかしくありません。身につけたあとは、やわらかい布でそっとひと拭き。香水やハンドクリームは、ジュエリーをつける前に済ませておきます。
この2つを習慣にするだけで、あの澄んだ青とは長く付き合えます。
ちなみに「持ち主に危険が及ぶと、トルコ石は色を変えたり欠けたりする」という言い伝えが、古くから残されています。変化しやすいデリケートな石だからこそ生まれた物語です。
トルコ石は12月の誕生石
日本の12月の誕生石は、トルコ石、ラピス・ラズリ、タンザナイト、ジルコンの4つです。
2021年12月20日に誕生石が改訂されましたが、このとき12月に加わったのはタンザナイトとジルコンの2つ。トルコ石とラピスラズリは、それ以前から12月の誕生石です。
トルコ石の石言葉は「成功」「繁栄」「健やかな体」。困難を越えて前へ進みたい人を支えてくれる石として、古くから親しまれてきました。
大きな挑戦を控えているとき、体調を整えておきたい時期。手もとに置いておきたくなる青です。
12月生まれの方へのプレゼントにも、自分用のお守りにも。手に取りやすい宝石です。
あわせて知りたい、12月の誕生石
12月の誕生石は4つ。同じ青系でも、質感の幅が驚くほど広いのが12月の特徴です。
光をほとんど通さないものから、向こう側が透けるほど澄んだものまで。好みが分かれるところです。
ラピスラズリ
トルコ石と同じく、光をあまり通さない石です。深く濃い青のなかに、白い筋(カルサイト)と金色の粒(パイライト)が散ります。
石言葉は「真実」「幸運」。トルコ石と並んで、以前から12月の誕生石として親しまれてきました。
タンザナイト
こちらは一転して、透明感のある青紫。見る向きによって青、紫、赤紫と色が変わる三色性を持っています。
石言葉は「冷静」「高貴」。落ち着いた色合いは、きちんとした場の装いにもよく似合います。
ブルージルコン
4つのなかでもとりわけ澄んで見えるのがブルージルコンです。透き通ったブルーのなかで、強い輝きがきらきらと弾けます。
石言葉は「成功」「夢想」「やすらぎ」。光を通しにくいトルコ石とは正反対の質感なので、装いに合わせて持ち替えるのもおすすめです。
まとめ|12月の誕生石トルコ石
トルコで採れないのに「トルコの石」と呼ばれ続けてきたトルコ石。その名前には、この石がたどってきた交易の道すじが残っています。
シナイ半島の古い採掘の跡が伝えるとおり、人類がもっとも早くから手にしてきた宝石のひとつでもあります。
やわらかく、汗や油分に弱い石。それでも、少し手をかけてあげれば、あの澄んだ青は長く寄り添ってくれます。
「成功」「繁栄」「健やかな体」。12月のお守りに、この青はよく似合います。