最も硬い石といわれているダイヤモンド。
硬度が高いのは事実ですが「硬い=割れにくい」というわけではありません。
ダイヤモンドは傷には非常に強い一方、特定の方向から強い衝撃が加わると、割れたり欠けたりすることがあります。ジュエリーとして長く愛用するためにも、「硬さ」と「割れにくさ」の違いを理解しておくことが大切です。
この記事ではダイヤモンドの硬さや割れやすさなど、ダイヤモンドの特性について解説します。
硬いのに割れる?ダイヤモンドの硬さに隠された秘密

ダイヤモンドは、宝石の中で唯一「モース硬度」が最大値である10を示していることから、最も硬い宝石と言われています。
ここでいう「硬度」とは、ひっかきキズに対する強さを示す指標であり、割れにくさ(耐衝撃性)を表すものではありません。
ダイヤモンドは、ほかの鉱物と擦れても、傷つきにくいのが特徴です。
それでは、なぜダイヤモンドは硬度が高いのでしょうか。
その答えは、ダイヤモンドを構成する炭素原子の結びつきの強さにあります。
ダイヤモンドは、炭素からなる鉱物です。
同じく鉛筆の芯も炭素でできていますが、ダイヤモンドほど硬くはありません。
これは、鉛筆の芯(黒鉛)は炭素が平面状に結びついているのに対し、ダイヤモンドは、炭素が立体的で強力に結びついているためです。
ダイヤモンドは地下深くの高温高圧な状況で作られます。
こうした厳しい状況下により、炭素原子の結びつきが強まり、硬度が高くなっているのです。
一定方向でダイヤモンドが割れるのは「劈開性」が原因
硬度が高く傷つきにくいダイヤモンドですが、落としたり叩いたりといった衝撃が与えられると、割れやすい特徴があります。
この割れやすさは、ダイヤモンドが持つ「劈開性(へきかいせい)」が原因です。
劈開性とは、炭素原子同士の結びつきが比較的弱い面に沿って、一定方向に割れやすくなる性質のことです。
天然のダイヤモンドは等軸晶系に属し、原石では八面体の結晶が代表的です。しかし、結晶内部ではすべての方向で炭素原子の結びつきの強さが同じというわけではありません。
ダイヤモンドには、八面体面に平行な4方向の「完全劈開」があります。結晶内部の原子の結びつきが相対的に弱い方向に強い衝撃が加わると、その面に沿って割れたり欠けたりすることがあるのです。
ほかの宝石と比べると、ダイヤモンドの割れやすさは以下の表のとおりです。
| 宝石の種類 | 結晶面を分離するのに必要な仕事の目安(erg/cm²) |
| ネフライト(軟玉) | 225,000 |
| ジェダイト(硬玉・本翡翠) | 120,000 |
| ダイヤモンド | 5,000(劈開面)~8,000 |
| コランダム(ルビー・サファイア) | 600 |
表の右側の数値は、結晶面を分離させるために必要とされる力の目安で、数値が大きいほど割れにくいことを示しています。
ダイヤモンドはネフライトとジェダイトよりも割れやすく、コランダムよりも割れにくい宝石です。
ダイヤモンドを語るうえで欠かせない特性「屈折率」

ダイヤモンドの特性として外せないのは、「屈折率」です。
屈折率とは、光が宝石内部に入ったときにどれだけ進行方向が曲がるかを示す指標のこと。
ダイヤモンドは高い屈折率を持つ宝石です。内部に入った光はファセットで反射・屈折し、適切にカットされたダイヤモンドでは多くの光が上部から戻ることで、明るく強い輝きが生まれます。
さらに屈折により分散された光は、その角度により異なる色となって目に移ります。
光を取り込む角度や分散する角度が多いほど、色鮮やかに輝くのです。
ダイヤモンドの屈折率は、宝石の中でも最上級。
人々を惹きつけるダイヤモンドの強く色鮮やかな輝きは、屈折率の高さにより証明されているといえるでしょう。
まとめ|儚くも力強い輝きを放つダイヤモンドの特性を理解しよう

この記事ではダイヤモンドの以下3つの特性について解説しました。
- 硬度が高い
- 劈開性がある
- 屈折率が高い
ダイヤモンドの硬度は最大数値10で最も硬い宝石といわれています。
硬度が高く傷つきにくいですが、劈開性があるため「落とす」「叩く」などの強い衝撃が加わると一定方向に割れやすい性質です。
また、ダイヤモンドは高い屈折率により、最高峰の輝きを放ちます。
この儚くも力強い輝きで見る人を魅了するダイヤモンド。
ジュエリーとして身に付ける際も、特性を理解しておくと、長くその輝きを楽しめるでしょう。