12月の誕生石一覧には、青い石が4つ並びます。トルコ石、ラピス・ラズリ、タンザナイト、ジルコン。そのなかで、ひときわ深い青を見せるのがラピスラズリです。
白い筋がすっと走り、金色の粒がちらちらと光る。ひとつとして同じ表情の石がないところが、ラピスラズリのおもしろさです。
しかもこの石、石言葉が8つもあります。ここまで意味を抱えている石はそう多くありません。成り立ちと歴史をたどったうえで、8つの石言葉をひとつずつ読んでいきます。
ラピスラズリとは

ラピスラズリは、じつは単一の鉱物ではありません。いくつもの鉱物が集まってできた「岩石」。分類のうえでは変成岩です。
青のもとになっているのは、ラズライトという鉱物。和名を青金石といい、この石の青の主成分です。
ラズライトと同じ仲間の鉱物には、アウィン、ソーダライト、ノーゼライトなどが知られています。そのなかでラピスラズリの青を担っているのが、ラズライトです。
モース硬度は5〜6。宝石のなかではやわらかい部類に入ります。
白い筋と、金色の粒
深い青のなかを白く走る筋は、カルサイト(方解石)です。青一色のものと、白い筋が流れるもの。同じラピスラズリでも、印象はずいぶん変わります。
もうひとつ、金色にきらりと光る粒があります。こちらはパイライト(黄鉄鉱)で、見た目は似ていても金ではありません。
夜空に散った星のよう、とよく言われる部分です。粒がどこに入るかは石まかせなので、並び方は一点ごとに違います。
硬さにばらつきがあるのも、複数の鉱物が集まった石ならではです。カルサイトの多い部分はやわらかく、パイライトの部分は硬い。ひとつの石のなかで、性質が変わります。
名前の由来と、日本での呼び名「瑠璃」
ラピスラズリという名前は、ラテン語で石を指すlapisと、ペルシア語に由来するlazuli(青)が合わさったものです。そのまま読めば「青い石」。飾り気のない名前です。
日本では「瑠璃」の名で親しまれてきました。仏教の七宝のひとつに数えられる青です。
ウルトラマリンという名の青

ラピスラズリは、ジュエリーだけの石ではありませんでした。削って粉にしたものが、ウルトラマリンという顔料になります。
バビロニアやエジプトでは、この顔料が壁画に使われたと伝えられています。ツタンカーメン王の棺にラピスラズリが用いられた話も、よく知られています。
絵画でいちばん名高いのは、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』でしょう。あの青いターバンに、ウルトラマリンが使われたことで知られています。
ウルトラマリンは貴重な顔料でした。原料はラピスラズリそのもので、石を削るところから作るほかなかったからです。
絵の具ひと色分の青が、それほど遠くから運ばれていました。
青の産地、アフガニスタンのサーリ・サング
ラピスラズリの最古級の産地は、アフガニスタンのバダフシャン地方にあるサーリ・サング(Sar-e-Sang)です。
古代文明の時代から、ここで採れた原石が使われてきました。何千年も前の人が手にしたのと同じ土地から、この青は運ばれてきました。
ラピスラズリは12月の誕生石
日本の誕生石で12月に定められているのは、トルコ石、ラピス・ラズリ、タンザナイト、ジルコンの4つです。ラピスラズリは、そのなかでも古くから12月の誕生石とされてきました。
ここからは石言葉です。
石言葉(1)「真実」
迷いのなかで、本当のところを見きわめたいとき。ラピスラズリは古くから、その人が進むべき道を照らしてくれる石だと言い伝えられてきました。
石言葉(2)「幸運」
なんとなくついていないな、と感じる時期に。厄を払って身を守る石として、長く親しまれてきました。幸運を呼び込むとも言い伝えられています。
石言葉(3)「健康」
健やかであるようにという願いを受けとめてくれる、と言い伝えられてきた石です。自分のためにも、家族のためにも。体のことが気にかかる時期に、そばへ置いてみてください。
石言葉(4)「知性」
新しい仕事に就いたとき、暮らす場所が変わったとき。発想力や直感を後押しして、慣れない場所での一歩を支えてくれる石だと言われています。
石言葉(5)「克服」
踏み出す勇気と、状況を変えるきっかけ。ラピスラズリはその2つを与えてくれる、と古くから伝えられてきました。うまくいかない時期や、思いがけない壁にぶつかったときに手にしたくなります。
石言葉(6)「浄化」
心と身のまわりの空気を整えて、落ち着いた判断へ導いてくれる。そう言い伝えられてきた石言葉です。気持ちが乱れて、考えがうまくまとまらない日に向いています。
石言葉(7)「聖業」
聖業とは、神に関わる神聖な務めを指す言葉です。ラピスラズリは古くから神聖な石として扱われ、そこからこの石言葉が生まれたと言い伝えられています。
石言葉(8)「永遠の誓い」
8つめの石言葉は「永遠の誓い」です。変わらない気持ちを支えてくれる石だと言い伝えられ、いまも大切な人への贈り物に選ばれています。
あわせて知りたい、12月の誕生石
12月の誕生石は、そろって青い石です。ただ、その青がどこから来ているかは、石ごとにまったく違います。
トルコ石(ターコイズ)
銅を含む鉱物で、細かな穴の多い多孔質の石です。半透明から不透明で、青から緑にかけての落ち着いた色合いを見せます。
母岩の名残が網目のように入るものもあり、これをマトリックスと呼びます。石言葉は「成功」「繁栄」「健やかな体」です。
タンザナイト
鉱物としてはゾイサイトの一種で、青紫の色は微量のバナジウムによるものです。1967年にタンザニアで見つかった、比較的新しい宝石でもあります。
石言葉は「冷静」「高貴」。透明感のある青紫は、ラピスラズリの深く濃い青とは好対照です。
ブルージルコン
無色やブラウン系のジルコンに加熱処理をほどこすと、澄み渡るような青が生まれます。同じ12月の青でも、こちらは処理から引き出された色です。
石言葉は「成功」「夢想」「やすらぎ」です。12月の誕生石「ジルコン」をもっと詳しく見る
まとめ|12月の誕生石ラピスラズリ
ラピスラズリは、いくつもの鉱物が集まってできた岩石です。ラズライトの青に、カルサイトの白い筋と、パイライトの金色の粒が混ざり合っています。
ジュエリーとしてだけでなく、ウルトラマリンという顔料として絵画の歴史にも関わってきました。アフガニスタンの山から、何千年も旅を続けてきた青です。
8つの石言葉のうち、いまの自分にいちばん近いのはどれでしょうか。そこから選んでみるのも、この石らしい向き合い方です。