誕生石の歴史|いつ誰が決めたの?起源から2021年の改訂まで

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誕生石の歴史|いつ誰が決めたの?起源から2021年の改訂まで

自分の誕生石なら、すぐに答えられる。でも「それって、誰がいつ決めたの?」と聞かれると、ちょっと言葉に詰まってしまう。

じつは誕生石には、はっきりとした「制定された年」があります。しかも一度きりではありません。国が変われば内容も変わりますし、時代とともに何度も決め直されてきました。日本でいちばん新しい改訂は、2021年のことです。

この記事で追いかけるのは、各月の石そのものではなく、誕生石という決まりごとがどう生まれ、どう変わってきたのかという歴史のほう。読み終わるころには、自分の誕生石が少し違って見えるはずです。

誕生石のはじまり|起源は聖書にさかのぼる

古い木のテーブルに置かれたペンダントと一粒の石

誕生石のルーツとしてよく挙げられるのが、聖書に記された二つの場面です。どちらにも「12」という数の宝石が登場します。

旧約聖書に出てくる、胸当ての12の宝石

ユダヤ教とキリスト教の聖典である旧約聖書。その「出エジプト記」に、祭司が身につける胸当ての描写があります。そこには12個の宝石が並べられ、それぞれがイスラエルの部族を表していたとされています。

宝石が装身具というより、身分や役割を示すしるしだった時代の話です。どの石だったのかは翻訳や解釈によって分かれていて、今もはっきりとは特定されていません。

新約聖書に登場する、新エルサレムの城壁

もうひとつが、新約聖書の「ヨハネ黙示録」です。天から降りてくる都・新エルサレムの城壁の土台に、12の宝石が使われていたという記述があります。

胸当ての12と、城壁の12。この二つが並んだことで、「12の宝石」というまとまりが人々の記憶に残っていったと考えられています。ただし、この時点ではまだ「1月はこの石」といった月との結びつきはありません。

「毎月の石を身につける」習慣が生まれるまで

では、12の宝石はいつ12か月と結びついたのでしょう。ここは確かな記録が残っておらず、諸説あるところです。

よく語られるのは、12という数のそろい方に気づいた人たちがいた、という流れ。1年は12か月、聖書に出てくる宝石も12。この重なりから、宝石を月に割り当てる発想が生まれたと伝えられています。

やがて、その月の石を身につけると力を得られると信じられるようになりました。この習慣が広まったころは、12個すべてをそろえて月ごとに着け替えていた人もいたといいます。今のように「自分の生まれ月の石だけを持つ」というスタイルが定着したのは、ずっとあとのことでした。

おもしろいのは、この習慣における石が「生まれた月のお守り」ではなかったこと。1月生まれの人が一年じゅう同じ石を着けるのではなく、誰もが1月には1月の石を着ける。今の誕生石とは、主役の置き方が違っていたようです。

1912年、アメリカで誕生石が統一される

青みがかった石板の上に置かれたシルバーのバングル

誕生石がはっきりした「決まりごと」になったのは、1912年8月のことです。アメリカの宝石商の団体であるNational Association of Jewelers(全米宝石商組合)が、カンザスシティで開かれた年次総会で、各月の誕生石の公式リストを採択しました。

それまでの誕生石は、地域や書物によってばらばらだったと言われています。宝石を扱う側からすれば、お客さまに聞かれるたびに答えが変わってしまう。業界としてひとつの答えを持とう、という事情があったと考えられています。

この団体はのちに名称を変え、現在はJewelers of America(ジュエラーズ・オブ・アメリカ)として活動しています。1912年のリストは何度か手を加えられながら、今も世界の誕生石の土台になっています。

1958年、日本の誕生石が決まる

日本に誕生石が根づいたのは、そのあとです。1958年、アメリカの宝石商組合が定めたものをベースに、全国宝石卸商協同組合が日本の誕生石を初めて制定しました。

大事なのは「ベースに」という部分です。アメリカのリストをそのまま写したわけではなく、日本の事情に合わせた調整が入りました。誕生石が国ごとに少しずつ違うのは、こうした手直しがそれぞれの国で行われてきたためです。

いま日本で「◯月の誕生石」として語られているものの多くは、この1958年のリストが出発点になっています。半世紀を超えるあいだ、ほとんど手つかずのまま受け継がれてきました。

2021年、63年ぶりの改訂で全29石へ

白い布の上に置かれたペンダントネックレス

そして2021年。12月20日に全国宝石卸商協同組合が日本の誕生石を見直し、10石を追加して全29石としました。1958年の制定から数えて、63年ぶりの改訂です。

なぜ、これだけ間があいたあとに動いたのか。組合が挙げた理由は、国内にさまざまな誕生石リストが出回り、消費者が混乱していたことでした。同じ月なのに、本やお店によって違う石が書かれている。業界として誕生石を統一することを第一に考えた――それが改訂の出発点です。

29石と聞くと多く感じるかもしれません。でもこれは、月によって選べる石が増えたということ。「自分の誕生石、正直あまりピンとこない」と思っていた人にも、別の答えが用意されたことになります。

どの月にどの石が加わったのかは、こちらの記事に一覧でまとめています。各月の誕生石と石言葉を一覧で見る

国やブランドで誕生石が違うのはなぜ?

ここまで読んで、「誕生石って世界共通じゃないの?」と思われたかもしれません。答えは、共通ではありません。

1912年のアメリカのリストが土台にはなっているものの、それぞれの国が自分たちの文化や事情に合わせて手を入れてきたとされています。日本の29石も、そのひとつの答えです。

ジュエリーブランドやお店によって違うこともあります。扱っている石の種類や、ブランドが大切にしている世界観に合わせて、独自の誕生石を掲げている場合があるためです。どれかが間違っているわけではなく、誰がいつ決めたリストなのかが違う。そう考えると、すっきりします。

調べていて答えが食い違ったら、まず「それは誰が決めたリストなのか」を確かめてみてください。日本での最新の答えを知りたいなら、2021年に改訂された全国宝石卸商協同組合の29石が基準になります。

まとめ

誕生石は、はるか昔から自然に受け継がれてきたもの……というより、そのときどきの人たちが「これでいこう」と決めてきたものでした。1912年のアメリカでの採択も、1958年の日本での制定も、2021年の改訂も、誰かが集まって話し合った結果です。

だからこそ、これからも変わる可能性があります。次の見直しがいつになるのかは、誰にもわかりません。

そう思うと、自分の誕生石が少し身近になりませんか。何百年も前の誰かが選んだ石を、100年前の宝石商たちが整理して、数年前に日本の組合が見直した。その積み重ねの先に、今そこにある一粒があります。

贈り物に誕生石を選ぶとき、石の名前だけでなくこんな話も添えられたら、受け取る人の記憶にきっと残ります。

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